コロナの存在しないアナザー2020~2022

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された方々には
謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。


コロナウイルスとも2年の付き合いになり、不便さや憤りを感じることもあれば、ある部分ではこの生活に慣れてきている人も少なくないと思う。

オミクロン株が猛威を奮っている昨今、私は予防には万全を尽くしているが、正直この生活に順応してきたせいかストレスは少ない。

それはあなたがエッセンシャルワーカーじゃないからと言われることもあるが、それは一理どころか何理もあり、そのとおりだと思う。

「コロナがなかったら楽しかったのに」という会話は時々耳に入る。

確かにコロナウイルスは多くの人の命を奪い、憎むべき存在であることは間違いない。

また、今までの当たり前の娯楽を奪ったことも間違いのない事実である。

だからこそ私は最近自問することが増えてきた

「コロナが存在しない2020年~2022年の世界があるとしたらどんな世界なんだろう?」

そのアナザーワールドに転生できるとしたら、そのアナザーワールドはコロナが無い以外は同じだとしたら転生したいだろうか?と考えたときに、私は即答出来なかった。いや、むしろ転生する気がない。

今この瞬間コロナが完全に消え去った世界なら、転生のスイッチは押すことを迷うが、2020年から全くコロナのなかった世界に転生するとしたら私は転生のスイッチを押さない。

そもそもこの自問に矛盾があるのが、コロナのなかったアナザーワールドでコロナが無い以外は同じとう定義は絶対にありえないのだ。

仲間たちはコロナのない世界では、どんな仕事をしているのだろうか?

家族はコロナの無い世界ではどんな生き方をしているのだろうか?

コロナにより今まで日本では無理と言われていた、テレワークがドラスティックに進んだり、今までは重要だけど緊急度は低かった働き方に向き合うことも出来るようになってきた。

何れにせよ、変化せざる得ない状況を突きつけられ、私達は力を合わせ変化し2年間は乗り切ってきたわけだ。

コロナで亡くなってしまった人がいることは紛れもない事実。後遺症に苦しんでいる人がいるのも事実。衰退した産業もあれば、倒産してしまった会社もある。感染はしなくても間接的要因で命を絶ったり、社会復帰できなくなってしまった人もいる。

一方でコロナが無かったら無かったで、破滅してしまった人や会社、衰退した産業は絶対にあったと思う。

コロナで失ったものはたくさんある。それでもコロナがあったらからこそ、失われなかった何かがあるのも事実で、もっとそこに目を向けてもいいじゃないかと思う。

テレビのニュースは一部だけフォーカスして切り取るから、コロナが原因で迷惑行為をする人をニュースに取り上げるけど、ニュースにはならない良い部分もあって、それは今までこんなに国や会社が一つの課題に向き合い、一致団結することなんて無かったと思う。

そのおかげかはわからないけど、僕は感じることがある。コロナの前より優しくなった人が増えた。思いやりを持てる人が増えたって。

今までもっとドライに物質主義だったのが、精神主義に以降してるのを感じる。この背景に少なからずコロナがきっかであるって僕は感じているんだ。

僕がコロナの存在しないアナザーワールドに行きたくない理由は、コロナのないアナザーワールドは、従来の現実主義がまだ続いていて、今僕の生きている世界より、思いやりのない人の割合が多いんじゃないかって怯えてるんだ。

これはあくまでも割合のお話なので、コロナのないアナザーワールドでも優しい人もいる。

今僕が生きている現世でも、自分勝手でエゴむき出しの人もいる。

大切なのは割合なんだ。今僕が生きるこの現世は、コロナの前より優しい人が増えた。

それはあなたの周りだけでしょ? そうかもしれないけどそれでいい。

そんな僕でも、マスクをしなくていい日常、好きな人と気軽に会食に行ける日常、病気に怯えて余計な死者が出ない日常の復活は心の底から願っている。

僕たちは2年間よく戦った、我慢もした、変化を突きつけられ変化もした。必要な体験もした。

もう充分じゃないか?

アナザーワールドには行かないけど、現世をもっと素敵にもっと楽しくしていきたい。