詞の魅力が特別じゃないのに心に響く『ZARD　坂井泉水さん』

ZARDの曲は殆どを坂井泉水さんが作詞をしています。文字だけ並べて、純粋に文字だけ見たときに凝った表現や、文字面だけで人の心を惹きつけるような強烈な文章ではありません。

では、何故あれだけ多くの人の心を惹きつけたのでしょうか。

メロディを何百回も聞く、何百回も聞いているうちにメロディが言葉をくれる。

数を聞いてないんだと思うよ何回も音だけ聞いてごらん

• もらった曲を本当に耳が痛くなるまで何百回も聞いている
• 家でちょっと変態的なくらい聞いて全部小さいところまでメモをしている

この坂井泉水さんの行動に私は、強い衝撃と感銘を受けました。

そして、ZARDの特別ではない歌詞が何故多くの人の心に響くのかわかりました。圧倒的な努力と強い想いから生まれる、言葉の重みに他なりません。

たまたまこの放送を見ていて、小学生・中学生の頃はZARDが好きだったことをすっかり忘れていて、たぶん25年ぶりくらいにファン復活で、DVDとCDを買い戻しました笑

そして、坂井泉水さんの歌声の言葉の重みに昔とは違った心地よさを感じながら、自分は努力が足りているか？と日々ぬるま湯にならないよう刺激を頂いております。

坂井泉水さんが若くして亡くなった頃の私は、流行りや周りに合わせることを選んでいて、人生で1番遊んでいた時期で「へー亡くなったんだ」くらいにしか思っておりませんでした。今は「とんでもない魅力を持った人が若くして亡くなった。とても惜しいこと。無念で仕方ない」ということがわかりました。

そして、長らくZARDの坂井泉水さんのものまねでそっくりな人が出てこなかったのも、小手先のテクニックで真似ができない、何百回と回数を積み重ねた努力からにじみ出る魅力があったからだと私は確信しています。
ようやく結構似てる人が出てきたようですが、私からすると違いが一発で分かりまし、テクニカルな部分で言えば、まあ似てるんですが本質を観たときに全然似てないです。

松下幸之助さんの言葉も、言葉だけ並べたときに結構当たり前のことしか言ってなくて、あれは松下幸之助さんだから、松下幸之助さんが云うから良いんだという話も聞いたことがあります。
ZARDの歌詞や歌も近いものがあるのではないでしょうか。

そして、私の師匠も同じです。当たり前のこと、誰にでもできることしか仰っしゃりません。ただ、恐ろしく基礎の反復練習をされていて、恐ろしいほどの努力と手を抜かない全力でやりきることを実践されています。

魅力は努力の薄紙を積み重ねた結果滲み出るものであり、それは誰にでも出来て誰にでもできないこと。

NHK BSプレミアム 番組特別編集版 『ZARDよ 永遠なれ 坂井泉水の歌はこう生まれた』で坂井泉水さんの生き方を拝見したときに、まさに一つ一つのことに手を抜かず全力で圧倒的な量をこなしてきた方です。

間違いなく私が尊敬する人物の一人であり、クソ未熟だった小学生・中学生時代にZARDに良さを感じていた自分は結構見る目があるなぁとも感じています。

本当になんでこんな魅力的な人が若くして亡くなってしまったんだろうと思いますが、瞬間瞬間に全力を尽くされてきたことと、こなしてきた圧倒的な努力の量を考えると、人生の密度で言えば充分すぎる人生だったのかもしれません。

長く生きるばかりが人生ではなく、いかに密度の濃い人生を送れるか。

テクニックや小手先だけで魅力的になろうとせず、何百回も繰り返し瞬間瞬間に全力を尽くし言葉に影響力を出していく。