亀がウサギを抜いた瞬間に立ち会えたこと
ウサギとカメの物語は、足の速いウサギと足の遅いカメが競走をし、最終的にはカメが勝利する話。です
亀がウサギを抜いた瞬間に私は今日立ち会えました。
綺麗事・おとぎ話ではなく、本当なんだと腑に落ちた瞬間でもありました。
ウサギの部下とカメの部下
会社員時代2社を共にした縁の深い元部下2名。特に2社目では、営業部をほぼゼロから構築するところから参画してもらい、社員数も売上も3倍にするような会社の成長を共に支える楽しい時間を過ごした2人でした。
歳は近いも2人の部下は正反対の性格。ウサギさんの部下は経歴も華やかで、言葉も達者で知識も豊富。顧客の懐に入るのが上手で、接待もお手の物。すぐに契約も取ってくる所謂一般的にはかなり出来る営業マンの部類に入る人でした。入社して数ヶ月で新規事業のポジションができたこともあり、管理職に抜擢され、その後も売上も収入もポジションも順調に上がっていきました。
カメさんの部下は、私と同じような中小企業を渡り歩いてきた経歴で、ウサギさんのような経歴で勝負できるタイプではありませんでした。営業マンとしては決して口達者な方ではなく、顧客と仲良くなるのはあまり得意ではなく、ビジネスライクな付き合いが多いことをウサギさんからよく揶揄されていました。
ほぼ同時の入社(正確にはウサギさんのほうが3ヶ月遅れてジョイン)で、役職も年収もずーっとウサギさんがリードしてきた前職でしたが、3年目を過ぎたあたりで私は上司として差が縮まっているなと感じることが増えてきました。このウサギさんがおとぎ話のように完全に舐めプしてくれたらいいのですが、まあまあ真面目できっちり働く子でして(笑)とはいえソコソコサボりぐせがあるのも知ってました(笑)一方カメさんもコツコツ頑張るものの、ワーカホリックではなかったので土日はしっかりお休みを取るライフワークバランス型(いいんですよ!これで)であったため、労働時間で差は埋まるはずは無いんです。
労働時間は同じでもカメが差を縮めた理由
では、何故差が縮まってきたのかを今振り返ると「なんでもやってみます」とカメさんは“まずやってみる”ことで仕事の幅を広げていきました。カメさんは技術のメンバーが足りないときは技術系の仕事を手伝ってくれたり、一番は私が新規プロダクトのPMをした時に開発のサポートで工程の川下部分の適性がすごくあるなと感じました。在職中一つだけ成功と呼べるレベルのプロダクトの開発に成功したのは、彼のサポート無しにはあり得なかったと当時から思っていました。
受け容れる力で更に差が縮まる
独立に向けて準備を始めた私は、現在の師と出会いました。師から学んだことをすぐに部下にアウトプットした時に
ウサギ「それは素晴らしい考え方です」と言って何もしない
カメ「それは素晴らしいい考え方です」と言って実践する
この頃から、カメさんはマインドが変わってきました。更に差が縮まって来ているなと感じ、時折その旨はこの頃から伝えていたと思います。単純に営業力だけなら、まだウサギさんの方が上だったと思いますが、ビジネスの総合力という観点で見たら差はなかったのかもしれません。
転職でもウサギがスタートダッシュ
私が退職しても、皆部下たちは会社に残るように一所懸命説いたが、ウサギさんは私が退職した半年後に早々に退職した。持ち前のコミュニケーション能力で一瞬苦戦仕掛けたがあっという間に中堅の良い企業から内定を貰い、役職付きで転職に成功。カメさんは会社に残り、苦労しながらも頑張った。途中明らかに不遇を受けていても「そういう体験も必要だと思って自分にできることをやる」と淡々と頑張っていた。「2年は頑張ると言った約束を破ってすみません」と一言わびて彼は私の退職から1年後に転職活動を行い、中堅のコンサルティング会社に入社することができた。
転職先で早々に結果を出し称賛されるウサギさん。転職先でなかなか新規契約が取れないカメさん。
愚痴をこぼさず、淡々と努力を続けたカメさん。持ち前のセンスでうまく立ち回り続けたウサギさん。
カメがウサギを抜いた日
2年の月日が流れた今日。カメがウサギを抜いた。あぁ確実に抜いたと私の何かがそう言った。もともと精神的にはカメさんがウサギさんを抜いていたことはわかっていたが、物質的にも抜いたな・・・と感じた。
思い返せば、この2年間の間にふたりとも時折、なにかあると私に相談をしてきた。そのときにカメさんか聞いたアドバイスをすぐに実践し実践した結果を嬉しそうに報告してくれた。ウサギさんは「そうですよね」といいつつも行動に移すことはしなかった。
素直であることは40歳を過ぎて差がはじめてつくのかもしれない。
カメさんは引き続き頑張ってほしいし応援している。きちんと会社にも申請して副業のダブルワークで当社の仕事も手伝ってくれており感謝しか無い。
今、ウサギさんが人生のアップダウンでいうと、ダウンの状態である。彼は元の能力が非常に高い。今からでも素直に受け容れる器量を身に着けた時、恐ろしく飛躍し多くの人たちをごぼう抜きにする素養を持っている。だからこそ、今落ちている・苦しい状態を飛躍のための糧にして欲しい。悪癖を改良する1年にしてほしい。今年1年で悪癖を改良すれば彼は必ず大化けすると確信している。
今、非常に苦しいと思うが、苦しいとき、うまく行かない時に周りや他人のせいにするのではなく、自分の中にある課題や悪癖と向き合い改良する糧にして欲しいと切に願う。
今思うと会社員時代の私は部下に非常に恵まれていたと思う。ここの話にはでてこない、この二人とはちょっと歳の離れた女性の部下がいて、時折当社の仕事をスポットで手伝ってくれているが明らかに私の会社員時代と比べ比較にならないほど成長している。一言で言うなら、3~4言えば10理解できるのだ。彼女もまた非常に優秀でコツコツ頑張れており、この大切な2年間の過ごし方次第で大化けすると思う。
独立してからも社員には恵まれている。いまエンジニアとして頑張ってくてれている当社の従業員の女性エンジニアも、ここ1・2ヶ月で爆発的成長を遂げてくれている。元々超努力家で業務委託期間も含めるとジョインして頂き1年以上が経つが、1年前とは別人なくらいエンジニアとしての戦闘力が上がっている。器用なタイプではないが、圧倒的努力と瞬間瞬間のエネルギーの注ぎ方が私も負けたと思うくらい凄いことが多々ある。普通の人よりは負荷の多い人生であることは間違いない彼女ではあるが、もう1ミリの文句もないくらい仕事を頑張ってくれている。彼女も何れ大きな飛躍を遂げると確信している。
最後に
今日ここの話に出てきた部下二人は40代中盤です(部下といってもふたりとも私より年上)20代、30代でうだつが上がらない人も、愚痴をこぼすことなくコツコツ毎日努力を積み重ねて、他責をせず自分の課題と真摯に向き合えば40代や50代もしくはそれ以降に花開くこともあります。特に甲辰年の今年は、悪癖を改良することで吉と言われている1年間です。自分の悪癖は何か(例:先送りグセなど)と向き合い、慎重に改良していくことで一人でも多くの人に人生を豊かなものにして頂きたいと切に願う。
この記事の執筆者 蓼沼康之
ASX株式会社 代表取締役
構想策定・DXコンサルタントとして数多くの企業のDXを推進する中で、DXの課題は人にあることにたどり着き、働くひとのマインドのX(Transformation)に注力するようになったことがきっかけで、HRコンサルタントしても活躍の幅を広げ、採用や定着、多くの企業の組織のスケールや、役員や№2、管理職の育成に成功。経営者の悩みに寄り添うメンターとしてのお役目も多数の経営者から頂いている。
奪う合う組織ではなく、与え合う組織を創ることをコンサルティングのモットーとしている。